どうやって離陸するの?

上昇気流を使えば飛び続けることのできるグライダーですが、気流を掴むために離陸するには何らかの動力が必要です。
その発航方法を紹介します。これらの内、現代において使われている方法は飛行機とウィンチによる曳航です。

飛行機曳航

飛行機にロープをつないで引っ張る。上昇気流ある場所など希望する地点・高度(通常600~900m位)に達したらグライダー側でフック(レリーズ)を操作しロープから離れて(離脱)自由飛行に入る。軽飛行機以外に馬力のあるモーターグライダーによる曳航も行われる。
飛行機曳航

ウィンチ曳航

 滑走路の端に設置した「ウィンチ」から引き出したワイヤロープ(曳航索)にグライダーをつなぎ、索を高速で巻き取ることで引っ張り上げる。ウィンチの動力はディーゼル、ガソリンエンジンが使われる(電動モーターもある)。上がりきったところでグライダー側のレリーズを操作し曳航索から離脱する。離脱高度は通常300~500m程度(滑走路の長さ・風の状況で変わる)。落下した曳航索は自動車(索曳き車)で出発点まで引き戻して次の発航を行う。
 飛行機曳航に比べると離脱地点が限られ高度も低く作業人員も多く必要だが、曳航費用が安いため国内では学生クラブなどで一般的に使われている。

ウィンチの例(独TOST社製2連ウィンチ、ガソリンエンジン)手前に出ているのが曳航索。索が2系統あり2回連続で発航できる。
TOSTウィンチ

ウィンチ曳航中(妻沼滑空場の4連ウィンチ)
ウィンチ曳航

自動車曳航

 グライダーにつないだ曳航索(ワイヤやピアノ線)を自動車で凧揚げのように引っ張り上げる。自動車が走行する距離を確保しなければならないので、曳航索の長さは滑走路の半分程度になり離脱高度はウィンチ曳航に比べてずっと低くなる。曳航後半は自動車後部を吊り上げる力が強くなるため車重がないと曳航困難になる。近年では行われた例を聞かない。

ゴム索発航(通称パチンコ)

 ゴム索(ゴム紐を綱状にしたもの。バンジージャンプのものが近い)をV字型にグライダーにつなぎ、グライダー尾部は地面に打った杭などにロープで固定する(人間が保持する)。ゴム索を左右同人数で歩調を合わせて引き延ばし、適当に延びたところで尾部の固定ロープを離すとグライダーが発射される。平地ではあまり高度は取れない。プライマリーやセカンダリーの訓練で使われたが、他の曳航方法のように長い滑走路を必要としないため山上からのソアラ―の発航にも使われた。
ゴム索発航の図

ゴム索発航によるプライマリーの訓練(昭和28年9月、小倉飛行場)
ゴム索発航